駐妻、イギリスの現地校で日本文化を伝える

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皆さんにとって、人生を大きく変えた出来事って何ですか?

私にとってはイギリスで暮らした数年間が、自分の価値観やその後の人生に大きな影響を与えてくれました。

その中でも「通訳案内士」を目指すきっかけとなった、私にとってスタート地点のような出来事があります。

それは現地のハイスクールで日本文化を紹介したこと。

自分としては全然満足のいくクオリティじゃなかったけど、ものすごく楽しかったんです!

そして最近になって、あれは人生のターニングポイントだったんだと強く思うようになりました。

今回はなぜ駐妻だった私が、イギリスのハイスクールで日本文化を紹介することになったのかについて書いていきます。

夫の勤め先にハイスクールからの依頼

ある日、帰宅した夫から「今度、イギリスの学校に行って日本文化を紹介するんだけど一緒に来ない?」と突然の打診がありました。

どうやら彼の勤めている日本企業に、地元のイギリスの学校から依頼があったらしいんです。

その学校(ハイスクール)は日本の高校と連携していて、一部の生徒が今度日本に訪れることになっており、ホームステイや学校訪問をするにあたって日本のことを教えて欲しいという依頼でした。

ミント
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ちょっと面白そう!

でも問題は自分の英語力…

当時はイギリスに引越して1年半が経ったころ。

英語の聞き取りには全く自信がない。

でもそこは同行する夫の同僚がフォローしてくれるとのことだったので、頑張ってみる事にしました!

「お箸の使い方」「日本食」を説明する

プレゼン資料の作成・当日の進行は夫の同僚が担当してくれるため、私たち夫婦は「お箸の使い方のデモンストレーション」と、「日本食の説明」を受け持つことになりました。

「お箸か日本食、どっちやりたい?」と私が聞くと、夫は「お箸のデモをやりたい」と即答します。

どうやら普段料理を全くしない夫には、どの料理にどんな食材が使われているかサッパリ分からず、「日本食」はお手上げとのこと。

そんなわけで、夫はお箸のデモ、私は日本食を説明することで役割分担が決まりました。

そして本番まで2週間を切った頃、夫の同僚からプレゼンの資料が届きます。

ミント
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やっとプレゼンの全体像と自分の役割が見えてきた〜

その資料には日本の朝ごはんやトンカツなどの料理の写真があったので、私はその料理の説明をすればいいんだなと理解。

ところが手持ちの本やインターネット上で、しっくりくる説明になかなか出会えません。

(海外にいると日本の書籍がすぐに買えないし、ネット上に今ほど情報が溢れていなかった頃でした)

自分でセリフを考えようと思っても、いい表現や英単語が思い浮かばないんです。

何を言えば正解なのか分からない、という感じが近いかも。

台本を書いては消し、書いては消しを繰り返しました。

夫はすでに「お箸の使い方」を英語で説明する準備を終えて余裕しゃくしゃく。

その横で恨み節が止まらない私でした。

ミント
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そもそも「日本の朝ごはん」って何?

ミント
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うちはパン食だし…

家庭によるよね?

ミント
ミント

ご飯・味噌汁・焼き魚・漬物が日本の朝ごはんの定番という根拠は?

ミント
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私もお箸のデモンストレーションにすれば良かった!

冷や汗の連続、でも楽しかった本番!

悪戦苦闘しながら台本を考え、ついに本番の日を迎えました。

皆で学校に到着すると、まず小部屋に通されて先生方とご挨拶&雑談タイム。

誰かが新聞社にコンタクトを取ったのか「もしかしたら新聞社が取材に来るかも」と言う話が出て、みなさん盛り上がっています。

ミント
ミント

よ、余計なことを・・・

注目度を上げてくれるな〜

つのる後悔の気持ちを抑えつつ、生徒たちが待つ教室に移動します。

ドアを開けておそるおそる教室に入ると…

すごい歓迎モード!!!

ミント
ミント

みんな楽しみにしてくれてたのー?!♡

そこから一気に緊張もふき飛び、その場を楽しもうと気持ちが切り替わりました。

最初に夫の同僚が日本のことをざっくり説明してくれたんですが、

夫の同僚
夫の同僚

「お辞儀の角度には意味があって、挨拶は15度、相手を敬う時は30度、深い謝罪は45度」

というセリフに「今もこの習慣は続いているのか?!」と真顔で質問する生徒。

夫の同僚
夫の同僚

「会議の時に目をつぶっている人がいても、必ずしも寝ているわけじゃなく考えているんだ」

これを聞いて、会議で目をつぶるのは世界のスタンダードではない事に気づきました。

ミント
ミント

気づいてないだけで、他にも日本独特の習慣ってたくさんあるんだろうなー

そうこうしているうちに私の「日本食」のパートになり、たどたどしい英語で説明終了(カンペを読んだだけ)。

質問なんてそう来ないだろう…と思っていたら、何人か手を挙げているではないですか。

ティーンエイジャーの英語が聞き取れなさすぎて、夫の同僚にヘルプを要請したところ、その質問は「イギリスと日本で似ている食べ物はありますか?」でした。

そういえばイギリスに来てからというもの、日本との違いにばかり着目してた私。

特に食べ物なんて、この2カ国間に共通点なんてあったっけ??

と考えていたら、思い出しました!

それはイギリスの「コテージパイ」と日本の「コロッケ」。

材料はほとんど同じで、牛のひき肉、玉ねぎ、人参、ジャガイモ、そこにイギリスのコテージパイにはチーズをオン。

調理法は少し違っており、コテージパイはひき肉とジャガイモとチーズの層を作ってオーブンで焼きますが、コロッケはじゃがいもとひき肉を混ぜて丸めて、パン粉をつけて油で揚げます。

コロッケを食べる時、私はウスターソースやお好み焼きソースをつけるのが好きなんですが、これらのソースに近いものがイギリスにもあるんです。

というか、ウスターソースはイギリス発祥だったりします。

Worcestershire ウスターシャー州で作られたので、地名をとってWorcestershire sauceウスター(シャ)ソース。


それと、少し甘めのHPソースはお好み焼きソースに近い味。


こちらのリンクはイギリス直輸入商品のものですが、ウスターソースは日本のスーパーでもちょいちょい見かける気がします。

HPソースはまだ日本では流通していない気がするのですが、もしどこかで見かけたらぜひ試してみてください♪

結論:外国を知ると日本への理解が深まる

私は長年日本に住んでいたので当然日本のことはよく知っている、と思ってました。

例えば、「家に入る時に靴を脱ぐ」という習慣を何の違和感もなく受け止め、その理由を深く考えたことはありませんでした。

ところが海外に住むようになり初めて「異質な日本」を感じることができたんです。

ミント
ミント

ちょっと見飽きていた日本が、なんだか面白い〜♪

私が文化や習慣の違う国々を知る面白さに目覚めたのは、この時からでした。

それまで海外旅行も何度か行っていたけど、ここまでハッとするような経験をしたことはありませんでした。

これ以後、私は外国を訪れるとき「この国にしかない特徴って何だろう」「日本と似てること・違うことって何だろう」をより深く考えるようになり、旅をすることがずっと楽しくなりました。

日本以外の国を旅することで、日本への理解もより深まるという不思議な感覚を楽しんでいたのです。

そして今は通訳案内士として海外からのゲストに日本を紹介するようになりましたが、彼らにとっても日本での旅が何らかの気づきとなり、帰国した後の日常生活にちょっとした変化を感じてもらえたらいいなと日々願っています。

最後に・・・

「海外に来てみて、はじめて日本のことをよく知らなかった自分に気づく」

というベタな経験をした私ですが、これがきっかけで私は通訳案内士の資格を取ったので、人生ってどう転ぶか分からないものです。

私の英語力やプレゼン内容は決して誇れる内容ではなかったのですが、発表が終わるとハイスクールの生徒さんたちからは花束をいただき、後日ローカル紙にも写真付きで掲載されるというサプライズも。

何人かの知り合いから「見たよ〜!」と声をかけられるという、日本でも経験したことのないことが盛りだくさんでした。

ただ、もう一度チャンスをもらえるなら、今の私でもう一度チャレンジしたいです。

もっと言うと、私がイギリスにいた全期間にうまく英語で説明できなかった日本のあれこれを、やりなおす機会が欲しい。

そんなチャンスがあるか分かりませんが、今後いつ何を聞かれても答えられるように日々精進していたいと思っています。

私が通訳案内士という職業に惹かれたのは、こんな気持ちが根底にあるからなのかもしれません。

ミント
ミント

最後までお読み頂きありがとうございました!